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(1)7月29日、政府は社会保険庁の年金業務を承継する日本年金機構の「基本計画」を閣議決定した。「基本計画」は、3000人の職員削減、1400人の有期雇用職員化、1000人の民間人採用などを打ち出したが、これでは年金業務の専門性・安定性を確保することができない。「基本計画」は国民が求める安心・信頼できる年金制度の確立に背を向けるものと言わざるを得ない。
(2)とりわけ重大なことは、「基本計画」が過去に処分歴のある職員については一律に日本年金機構に採用しないとする方針を打ち出したことである。日本年金機構は社会保険庁の解体にともないその事業を継承する法人である。社会保険庁職員が日本年金機構に雇用を承継できないとなれば、それは重大な不利益となり事実上の解雇である。たとえ「採用方式」をとるにしても、その基準は公正・公平で合理性・社会的相当性をもつものでなければならない。過去の処分の内容や程度、処分理由を問わずささいなものを含めて一律に不採用とすることは実質的な二重処分に等しく、労働法理にも反する不当・不法なものである。このようなことが政府の手により公然と行われたならば、公務員の雇用を脅かすばかりか、民間労働者にも悪影響を及ぼすものであり、断じて許すことができない。断固抗議する。
(3)そもそも年金記録問題の根本的な責任は政府・厚生労働省にあり、政府・厚生労働省にはその解決の方策と体制を確立することが求められている。同時に、憲法の生存権規定にもとづいて、国民が安心・信頼できる公的年金制度を確立する責任を負っている。JMIUは、日本年金機構のあり方について、あらためて国民的な議論を行うことを求めるものである。
2008年8月8日